南伊の都市、アマルフィ。中世からの海洋都市、イスラーム世界の文化、時空の積み重なる迷宮都市群とそのテリトーリオを読み解く。
アマルフィの人びとは「ひとつの足はブドウ畑に、もうひとつの足は船に置く」――。
海を望む斜面に高密な迷宮空間を築き上げたイタリアのアマルフィ海岸の都市の魅力は、世界文化遺産の“世界一美しい海岸”で知られる海辺の美しい景観だけではない。アマルフィ海岸の人びとにとって、海と内陸部の山の関係は強く、その両者の日々の生活のなかに存在した濃密な関係性がこの地域の豊かさを生み出してきた。
田園に点在する農家や教会などの建築群、周辺に広がるレモン、オリーブ、ブドウなどの農地や山林、海と山を結ぶ小道、美しい海岸線などが生むランドスケープ…。中世からの海洋都市に影響を与えたアラブ・イスラーム世界の文化をはじめ、時空の積み重なる迷宮都市群とそのテリトーリオ(地域/領域)を四半世紀に及ぶ徹底的なフィールド調査で読み解く。
アマルフィ海岸のテリトーリオ
大地と結ばれた海洋都市群の空間構造
3,600円(+税10%)
ISBN:9784306073661
体裁:菊・390頁
刊行:2025年1月
- はじめに
- 第Ⅰ部 アマルフィ海岸
- 第1章 アマルフィ海岸の都市とテリトーリオの空間構造
- 第2章 海洋都市国家の興亡の歴史
- 第3章 アマルフィ海岸の地域資産とテリトーリオ
- 第II部 アマルフィ
- 第1章 アマルフィの全体像
- 第2章 各地区を語る
- 第3章 アマルフィの発展段階を読む
- 第III部 アマルフィ海岸諸都市
- 第1章 アトラーニ——アマルフィとの「双子」
- 第2章 ミノーリ——アマルフィ海岸の「エデンの園」
- 第3章 マイオーリ——埋もれた古い都市組織
- 第4章 ポジターノ——ローマ時代からのリゾート
- 第5章 ラヴェッロ——海を望む高台の恵まれた立地
- 第6章 スカーラ——山間部に隠される多核都市
- 第7章 トラモンティ——中山間部に点在する集落群
- 第8章 ヴィエトリ・スル・マーレ——特異な構造の産業都市
- 第9章 コンカ・デイ・マリーニ——分散集落の連合体
- 第10章 [補遺]アマルフィ海岸の丘陵と山岳地の居住形態——ラヴェッロ、スカーラ、トラモンティ
- 第IV部 テリトーリオを読む視点
- 第1章 アマルフィ海岸の建物類型
- 第2章 アマルフィ海岸の農業景観の変遷
- 第3章 道のネットワーク——ポントーネを事例に
- おわりに