これまで建築史で語られることのなかった「付属屋」に着目した初めての本。
人々が住み、生活をする場となる「主屋」に対し、主に生業を担う作業場や、保管・収納する空間などとして使用される「付属屋」。
主屋は木造軸組みが主であるのに対し、付属屋は石造、土蔵、石屋根木造、木骨石造など構法も様々で、それゆえ主屋以上に日本民家の地域性がより濃く反映され、地域の景観形成大きな影響を与えている。個性豊かな日本各地の「付属屋」の魅力をカラーでビジュアルに紹介する。
図説 付属屋と小屋の建築誌
もうひとつの民家の系譜
2,800円(+税10%)
ISBN:9784306047143
体裁:A5・308頁(コデックス製本)・オールカラー
刊行:2024年3月
- まえがき——付属屋と小屋が面白い
- 第1章 付属屋・小屋の知られざる世界
- 第2章 「生業(なりわい)」が生み出す小屋の形
- 第1節 生業を担う小屋
- 第2節 東出雲・畑集落の柿小屋
- 第3節 南予・狩浜の養蚕小屋
- 第4節 佐渡島の棟持柱を持つ二戸一建ての舟小屋
- 第5節 隠岐の島の舟小屋
- 第6節 北山杉の磨き丸太倉庫
- 第7節 宇治茶の茶工場集落
- 第8節 平戸市生月島・鯨組の納屋場
- 第3章 風土に向き合い、自然と共生する営み
- 第1節 砺波平野の集落の成り立ちとその空間秩序
- 第2節 付属屋と屋敷構え
- 第3節 弘前の武家屋敷をつくる生垣と庭・樹木
- 第4節 上越市高田・雪国の居住システムとしての雁木
- 第5節 豪雪地帯・秋田の類いまれな「鞘」
- 第6節 福井県旧今井宿の「雪囲い」
- 第4章 命を守る——生存のための小屋
- 第1節 水防の知恵と住まい
- 第2節 荒川・利根川流域の水屋・水塚
- 第3節 和歌山県古座川の水揚げ小屋と石積み集落
- 第4節 富士山の山小屋——板屋と石室
- 第5章 石を積む営み——石と木のハイブリッドな世界
- 第1節 石積み建物から見えるもの
- 第2節 宇都宮の大谷石建物
- 第3節 国見の石蔵と高畠の外構
- 第4節 小樽の木骨石造倉庫
- 第5節 長崎の練塀民家と「ド・ロ壁」
- 第6節 新島の抗火石建物
- 第6章 土と石でつくるハンドメイドの風景
- 第1節 土を積んだ建築
- 第2節 奈良のドテヤ・広島のハンヤ・大分のネリビー
- 第3節 長崎のドヒョモタセ
- 第4節 石積みという「術」——農作業としての石積み
- 第7章 土蔵——究極の職人技
- 第1節 「土蔵」の成立と終焉
- 第2節 左官技術からひもとく土蔵
- 第3節 諏訪地方のダシが付いた土蔵
- 第4節 諏訪地方の「たてぐるみ」とは何か
- 第5節 会津喜多方の蔵座敷
- 第6節 横手市増田の蔵座敷
- 第8章 もうひとつの民家の系譜
- あとがき