復興区画整理による「地域らしさ」の継承は可能か。
どのような制度も、そこに込められた「情感」を欠いては人の心を動かすことはできない。
今にして思えば、復興の最前線で真に求められたのは、この「情感」の質と量ではなかったか。
著者たちの挑戦もそこにあったのだと思う。――内藤廣(建築家・東京大学名誉教授)
多くの地域で用いられる手法でありながら、画一的で無個性な空間を生んでしまうといったイメージが強い「土地区画整理事業」。その「土地区画整理事業」を通して、「地域らしさを継承するまちづくりは可能か」を東日本大震災の復興事業、とくに岩手県大槌町町方・吉里吉里地区での実践・研究をもとに論じる。
コミュニティのかたちと復興区画整理
岩手県大槌町町方・吉里吉里の地域デザイン
3,500円(+税10%)
ISBN:9784306073630
体裁:A5・302頁
刊行:2023年3月
- 序章 復興区画整理と地域らしさの継承
- 1節 はじめに
- 2節 日本の災害復興と区画整理
- 3節 東日本大震災における復興区画整理と地域らしさの継承
- 4節 コミュニティのかたちと地域らしさの継承
- 5節 大槌町の概要と復興事業の特徴
- 6節 本書の構成と用語の解説
- 第1章 東日本大震災の復興区画整理における地域らしさ継承の試み
- 1節 岩手・宮城五八地区の復興区画整理の特徴
- 2節 復興区画整理における計画内容の変化
- 3節 復興区画整理による地域らしさ継承の可能性
- 第2章 町方地区の復興まちづくりと公共空間デザイン
- 1節 湧水豊かな大槌町の中心市街地:町方地区の概要
- 2節 歴史を参照したコンパクトな街の再生:復興まちづくり(2011〜2012)
- 3節 近隣コミュニティの暮らしと復興計画:復興まちづくり(2013)
- 4節 地域資源を活かした公共空間デザイン:復興まちづくり(2014〜)
- 5節 住民の議論を実現する空間デザイン:景観概略設計の成果と課題
- 6節 町方地区の住民参画と復興区画整理
- 第3章 吉里吉里地区の復興まちづくりと公共空間デザイン
- 1節 海と共に育まれた共助の絆:吉里吉里地区の概要
- 2節 海と山とのつながりを軸とした地区の骨格づくり:復興まちづくり(2011〜2012)
- 3節 デザインノートによる地区の見取り図づくり:復興まちづくり(2013)
- 4節 公民館とまちの広場を核とした暮らしの場づくり:復興まちづくり(2014〜)
- 5節 被災から7年後のまちびらき
- 6節 吉里吉里地区の住民参画による計画づくりがと復興区画整理
- 第4章 復興まちづくりにおけるコミュニティのかたち
- 1節 地域特性に合わせた計画策定とコミュニティのかたち
- 2節 地区の形成過程と被災前のコミュニティのかたち
- 3節 復興まちづくりの進め方とコミュニティのかたち
- 4節 復興後のコミュニティのかたち
- 5節 継続するコミュニティのかたちの捉え方
- 終章 地域らしさを未来に継承する復興に向けて
- 1節 復興区画整理の可能性と課題
- 2節 コミュニティのかたちに合わせた住民参画の重要性
- 3節 住民参加でつくりあげた計画を現実のかたちにする