人口減少時代の郊外住宅地、生活圏の再編、ワークスタイルの変化
……「鉄道」から問う2020年代の郊外論。
均質と思われていた郊外住宅やその住民生活は、いまや少子高齢化の影響、家族や就業構造等の変化に伴い多様化を呈する。鉄道沿線に展開されてきた「良質な」郊外住宅地が、車社会の到来と衰退を経て空き家問題、コミュニティの問題などを抱える場となるなか、「駅前と沿線」の価値を見直すことで、再生の方策を見いだす。
〈第43回 国際交通安全学会賞受賞〉

鉄道と郊外
駅と沿線からの郊外再生
2,800円(+税10%)
ISBN:9784306046863
体裁:A5・304頁
刊行:2021年8月
- 序章
- 第1章 大都市圏と鉄道郊外 角野幸博
- 1 大都市圏の構造変化と郊外のポジショニング
- 2 鉄道事業者の郊外開発
- 3 郊外再生のきざし
- 第2章 郊外生活の現在 青木嵩・角野幸博
- 1 郊外は均質なのか
- 2 買物先からみた郊外生活
- 3 外食先からみた郊外生活
- 4 自己実現の場からみた郊外生活
- 5 新しい世代の郊外生活
- 6 郊外生活のこれから
- 第3章 郊外住宅・住宅地の変容と未来像 岡絵理子
- 1 郊外の戸建て住宅地
- 2 郊外住宅地で今何が起きているか
- 3 郊外住宅地の将来——私の生活実現のまちへ
- 第4章 郊外駅の現状と未来像 伊丹康二
- 1 鉄道ネットワークと郊外駅
- 2 郊外駅のタイプとその周辺
- 3 駅の拠点性
- 4 駅の象徴性
- 5 まちにつながる駅
- 第5章 多様化を続けた鉄道会社の事業と郊外 水野優子
- 1 近代期の事業展開——沿線価値の創出
- 2 戦後から高度成長期、安定成長期の事業展開——沿線価値の拡充
- 3 低成長期の事業展開——沿線価値の再構築
- 年表関西私鉄事業史
- 第6章 沿線力強化による郊外再生 角野幸博、松根辰一
- 1 新たな論点
- 2 都市圏再編の必然性
- 3 立地適正化計画と沿線型コンパクトシティの可能性
- 4 駅の力
- 5 沿線再編における鉄道事業者への期待
- 補論 大手私鉄の東西比較 坂田清三