60周年特別企画「鹿島出版会と」

鹿島出版会と

コミュニティと
金野千恵

まちづくりの新しい理論

クリストファー・アレグザンダー/ほか著 難波和彦/監訳

本体 2,000円(+税10%)



まちづくりの新しい理論

まちづくりやコミュニティに関わる方法論は、制度や経済原理の力によって“暮らし”が置き去りになるか、民主化を強調するあまり活動が先行して物理的な“まち”に届かないか、など、いつの時代も困難の中にある。C・アレグザンダーが冒頭のいずれでもないまちづくりの方法論を実験した本書は、時代のコンテクストが異なるものの、今なお刺激的である。まちが漸次的に成長するための構造、何をつくるかという問いを支える小さくとも質の高いヴィジョン、歩行者を優先したポジティブな外部空間といった7つのルールと、それを貫く治癒的(healedness)と表現する都市のイメージ。日本の多くのまちが定常状態を迎えた現代だからこそ、都市を治癒する彼のまちづくりの実験が私たちに多くを語りかける。

(こんの・ちえ/建築家、teco主宰、京都工芸繊維大学特任准教授)

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