60周年特別企画「鹿島出版会と」

鹿島出版会と

素材と
加藤耕一

時間のなかの建築

モーセン・ムスタファヴィ、デイヴィッド・レザボロー/共著 黒石 いずみ/訳

本体 2,800円(+税10%)

時間のなかの建築

建築はかつて「凍れる音楽」とも呼ばれ、あたかも結晶構造であるかのように、時を超える不変の存在と考えられたこともあった。だが本書は、建築もあたりまえの「物質」として時間変化するものであるということを、豊富な写真とともに刺激的に論じていく。表層の仕上げ素材が風化することは、時間の経過による「皮膚の成長」であり、それは「完成された」建築作品が自然によって「再創造」される働きなのである。20世紀末に本書が刊行されてから、建築界の素材に対する感受性と時間デザインに対する関心は、格段に高まったといえるだろう。

(かとう・こういち/建築史家・東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授) 

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