鹿島出版会と
復興と
佐々木葉
津波のあいだ、生きられた村
本体 3,600円(+税10%)
本は読まれるために書かれる。この本の著者が、かつての津波後に山口弥一郎によって書かれた言葉を読みなが ら書いたように、この本もいつか誰かに読まれ、そこからまた次の何かが書かれるに違いない。それは次の災害 の復興の時なのか。繰り返しやってくる災害の周期性と、人のなすことの直線的な変化。同じ時間、同じ空間の 上に生起する個別の、同時に集団の出来事を関係性に要約してしまわぬ形で、拾い、記し、描いた一冊。26cm×26cm の紙の本は、それ自体が人類の知のあいだを生きるだろう。
(ささき・よう/早稲田大学創造理工学部社会環境工学科教授)